写真やスマホのデータがどんどん増えて、クラウドの容量がいつも足りない——そんな悩みを一気に解決してくれるのが、自宅に置ける「自分専用クラウド」ことNAS(ネットワーク対応ストレージ)です。なかでも世界的に支持を集めているのが、台湾発のメーカーが手がけるSynology(シノロジー)のNAS。とはいえモデルが多く、どれを選べばいいか迷ってしまう方も多いはずです。この記事では、Synology NASのシリーズごとの違いや選び方のコツ、用途別のおすすめモデルをわかりやすく整理しました。
- 家庭の写真・動画バックアップなら2ベイモデルが王道。ミラーリングでデータを守れる
- シリーズはj → Value → Plusの順にCPU・メモリ・拡張性が向上
- 初めての1台ならコスパ重視のjシリーズ、長く使うならPlusシリーズが安心
- 初心者はSHRという独自RAIDを使えば容量設計で失敗しにくい
- 大容量・高速転送・複数人利用なら4ベイ以上+2.5GbE対応を狙う
Synology NASが選ばれている理由
Synologyは2000年に設立されたメーカーで、NAS分野では世界的に高いシェアと評価を得ています。日本法人も設立されており、日本語のサポート体制が整っている点は、初めてNASに触れる人にとって大きな安心材料です。
多くの人がSynologyを選ぶ理由として挙げるのが、無料で使える写真管理アプリ「Synology Photos」です。スマホ写真の自動バックアップ、AIによる顔認識、撮影地の地図表示などが、月額料金なし・容量は搭載したHDD次第という形で使えると評価されています。
クラウドサービスのように月々の費用がかからず、容量も自分で増やせるため、家族の思い出を長期保存したい人との相性が良いとされています。さらに、PCのバックアップ、動画ファイルの保管、外出先からのデータ閲覧など、一台で幅広い使い方ができる点も支持の理由です。
まず押さえたい「シリーズ」と「ベイ数」の違い
Synology NAS選びでつまずきやすいのが、型番の見方です。ポイントは大きく分けて「シリーズのグレード」と「ベイ数(HDDを入れる箱の数)」の2つだけ。ここを理解すれば候補をぐっと絞り込めます。
シリーズごとの性格
| シリーズ | 位置づけ | 向いている人 |
|---|---|---|
| jシリーズ | 入門・低価格 | まず気軽に試したい家庭 |
| Valueシリーズ | バランス型 | 標準的な家庭利用 |
| Plusシリーズ(+) | 高機能・拡張性重視 | 写真家・動画編集・在宅ワーク |
基本的に j → Value → Plus の順で、CPU・メモリ性能、LANポートの数、拡張性が上がっていきます。型番末尾に「+(プラス)」が付くものはPlusシリーズで、メモリ増設やM.2 SSDの搭載に対応する高機能モデルだと考えると分かりやすいです。
ベイ数の選び方
- 1ベイ:価格は安いものの、HDDが故障するとデータが失われるため、保存用途では基本的に非推奨
- 2ベイ:2台のHDDに同じデータを書き込むミラーリング(RAID 1)が可能。家庭用の定番
- 4ベイ以上:RAID 5などで容量効率と冗長性を両立。写真家や動画クリエイター向け
4ベイでRAID 5を組むと、4台中3台分(約75%)を実容量として使えるため、大容量と安全性のバランスを取りやすいのが特長です。一方、家庭の写真・書類バックアップ程度であれば2ベイで十分という声が多くあります。
用途別おすすめモデル6選
ここからは、入門機から大容量モデルまで、Amazonや楽天でも入手しやすい代表的なモデルを用途別に紹介します。価格帯はあくまで目安ですが、自分の使い方に合うグレードを見極める参考にしてください。
Synology DiskStation DS223j
家庭向け「jシリーズ」の人気モデルで、Synology NASの入門機として定番の存在です。2ベイ構成なので、HDDを2台入れてミラーリングしておけば、片方が壊れてももう片方にデータが残ります。写真のバックアップ、スマホデータの保存、PCのバックアップといった家庭でやりたいことの大半をこれ一台でこなせると評価されています。「まずNASがどんなものか試してみたい」という人に向いた一台です。
Synology DiskStation DS224+
2ベイのPlusシリーズで、jシリーズよりCPU性能が高く、もたつきにくい操作感が魅力とされています。複数の作業を同時に行ったり、写真アプリのAI機能を快適に使いたい人にちょうど良いバランス。価格は5万円前後が目安で、「入門機より一段上が欲しいけれど、ハイエンドは過剰」という層に支持されています。長く使う前提なら、最初からこのクラスを選んでおくと満足度が高いという声もあります。
Synology DiskStation DS225+
スタンダードユーザー向けの新しめのモデルで、CPUがIntel製にアップグレードされ、メモリも2GBを標準装備。さらに2.5GbEポートを備えているため、対応環境ならファイルのやり取りを高速に行えます。大量の写真や動画を頻繁に出し入れする人にとって、転送速度の余裕は日々の快適さに直結します。「これから数年使う標準機」を探している家庭にフィットするモデルです。
Synology DiskStation DS423+
4ベイのPlusシリーズで、HDDを3〜4台搭載してより大容量に対応できます。2ベイモデルに比べて冷却ファンが2基に増え、長時間稼働でも熱がこもりにくい設計。さらにM.2 NVMe SSDによるキャッシュに対応しており、読み書きの体感速度を底上げできます。保証期間も3年に伸びるため、家族の写真をまとめて長期保存したい人や、データ量が右肩上がりの家庭に向いています。
Synology DiskStation DS923+
同じ4ベイでも、2.5GbEの速度を活かしたい人に向くのがDS923+です。標準メモリが4GBに増え、複数人での同時アクセスや負荷の高いアプリも余裕を持って動かせると評価されています。動画編集の素材置き場や、家族・小規模オフィスでの共有用途など、「速さと拡張性をしっかり確保したい」ケースで頼りになる一台。価格帯は上がりますが、その分長く主力として使える設計です。
Synology DiskStation DS1522+
5ベイ構成のハイクラスモデルで、大量のデータを長期にわたって扱いたい人に向いています。ベイ数が多いぶんRAID構成の自由度が高く、容量と冗長性のバランスを細かく設計可能。メモリ増設にも対応しており、写真・動画・書類を一元管理したいヘビーユーザーや、「将来データが増えても買い替えずに済ませたい」という長期目線の人に選ばれています。最初の投資はかかりますが、拡張余地の大きさが魅力です。
失敗しないための選び方ポイント
モデルを絞り込む前に、押さえておきたい判断基準を整理します。「どれくらいのデータを、誰が、どんな速度で使うか」をイメージすると、自然と最適なグレードが見えてきます。
- ベイ数を決める:データを守るなら最低2ベイ。大容量なら4ベイ以上
- シリーズを決める:気軽さ重視ならj、長く使うならPlus(+)
- 速度・拡張性を確認:高速転送やSSDキャッシュが要るなら上位モデル
CPUはNASの「頭脳」にあたり、全体の処理速度を左右します。メモリは、複数のバックアップを同時に走らせるような負荷の高い使い方ほど多く必要になります。家族みんなで使う、写真アプリのAI機能を多用する、といった場合はメモリに余裕のあるモデルを選ぶと快適です。
NAS本体にHDDは付属しないことが多く、別途用意する必要があります。容量計画はここで決まるため、本体と合わせてHDD選びも重要です。RAIDで冗長化していても「バックアップの代わり」にはならない点も覚えておきたいポイントで、大切なデータは別の場所にもう一つ控えを持つ運用が安心とされています。
HDD容量とRAIDの基本(初心者向け)
NASを使い始めるうえで避けて通れないのが、HDDの容量設計とRAID(複数のディスクをまとめて扱う仕組み)です。難しく感じるかもしれませんが、Synologyには初心者にやさしい仕組みが用意されています。
SHR(Synology Hybrid RAID)は、容量やメーカーの違うHDDでも自動で最適化してくれる独自の方式です。たとえば4台のベイに4TB/4TB/2TB/1TBを入れた場合、通常のRAIDでは最小の1TBに揃えられてしまうところ、SHRなら無駄を抑えて約7TBを実容量として活かせるとされています。容量設計で失敗したくない初心者に心強い選択肢です。
一般的なRAIDでは、すべてのドライブが最も小さい容量に合わせて認識される点に注意が必要です。最初から同じ容量のHDDを揃えておくと、計算がシンプルで無駄が出にくくなります。
SHRからRAID 1へ、あるいはRAID 5からSHRへといった構成の変更は後から直接行えないケースがあり、その場合はストレージプールを作り直す必要があります。最初の段階で「どの構成にするか」を決めておくと、あとで手戻りが起きにくくなります。
こんな人にこのモデル(早見表)
| 使い方のイメージ | 候補モデル |
|---|---|
| まず気軽に始めたい | DS223j |
| 標準的な家庭利用で長く使いたい | DS224+ / DS225+ |
| 写真・動画を大容量で保存したい | DS423+ |
| 高速転送と拡張性を重視したい | DS923+ |
| 将来の容量増にも余裕を持ちたい | DS1522+ |
迷ったら、少し上のグレードを選んでおくと後悔しにくい、という声が多くあります。NASは数年単位で使う機器なので、購入時点の必要量だけでなくこれから増えるデータ量も見込んで選ぶのがコツです。
まとめ
Synology NASは、写真やスマホのデータをまとめて保存できる「自分専用クラウド」として、月額料金をかけずに使えるのが大きな魅力です。選ぶときは、まずベイ数でデータの守り方と容量規模を決め、次にシリーズ(j/Value/Plus)で性能と拡張性を選び、最後に転送速度やSSDキャッシュなどの細かな要素を確認する——この順番で考えると、自分にぴったりの一台に行き着きやすくなります。初心者はSHRを活用すれば容量設計でつまずきにくく、安心して始められます。
Synology NASおすすめ6選|失敗しない選び方を比べてみたをまとめました
入門機のDS223jから、バランス型のDS224+・DS225+、大容量のDS423+、高速・拡張重視のDS923+、そして余裕のあるDS1522+まで、用途に応じて選択肢は幅広く揃っています。大切なのは、今の必要量と将来の伸びの両方を見据えて選ぶこと。自分の使い方をイメージしながら、無理なく長く付き合える一台を見つけてみてください。あなたの大切なデータを、安心して手元に残せる環境づくりの参考になればうれしいです。







