PLフィルター(偏光フィルター)は、風景写真や水面の反射を抑え、色彩をより鮮やかに表現するために欠かせないアイテムです。ケンコーは多くのPLフィルターを展開しており、初心者向けから上級者向けまで幅広い選択肢があります。本記事では、ケンコーの主要なPLフィルターを比較し、それぞれの特徴や選び方についてご紹介します。
ケンコーのPLフィルターラインアップ
ケンコーが提供するPLフィルターは、大きく分けて3つの価格帯と特性を持つシリーズに分類されます。それぞれのシリーズは異なるニーズに対応するよう設計されており、撮影の目的や予算に応じて選択することができます。
Kenko サーキュラーPL(W)
初心者から中級者向けの定番モデルとして位置づけられるサーキュラーPL(W)は、手頃な価格帯でありながら確実なPL効果を発揮します。このモデルの最大の特徴は薄枠仕様の採用です。薄枠設計により、広角レンズを使用する際のケラレ(画像の周辺部が暗くなる現象)を抑えることができるため、様々なレンズに対応しやすくなっています。
水面の反射を効果的に抑制し、風景写真の色ノリやコントラストも自然な仕上がりになります。扱いやすさと実用性のバランスが取れており、「まず1枚欲しい」という方に最適な選択肢です。価格も比較的リーズナブルなため、複数のレンズサイズで揃えたい場合にも経済的です。
Kenko PRO1D WIDE BAND C-PL
PRO1D WIDE BAND C-PLは、従来のPLフィルターの課題である透過率の低さを改善したモデルです。高い透過率により、フィルター装着による画質低下を最小限に抑えることができます。このため、より明るく、より自然な色合いの写真を撮影することが可能になります。
両面マルチコートが施されており、反射を効果的に防ぎながら発色も自然に保たれます。薄枠設計も採用されているため、広角レンズでのケラレにも強く、コスパの良さが大きな魅力です。初心者から中級者まで幅広いユーザーに対応でき、1万円以下の価格帯でも妥協したくないという方に適しています。
Kenko ZX (ゼクロス) C-PL
ZX C-PLは、ケンコーの高性能PLフィルターの代表格です。このモデルの最大の特徴は、高透過偏光膜の採用により、通常のPLフィルターと比べて約1段分明るく撮影できることです。従来のPLフィルターは暗くなりやすいという課題がありましたが、ZX C-PLはこの問題を大幅に解決しています。
独自のフローティングフレームシステムにより、フィルター面の平面性を高く保つことで、レンズの解像力をほぼ損なわずにPL効果を発揮します。色かぶりが非常に少なく、面反射も0.3%以下に抑えられており、最高画質のPLフィルターとして位置づけられています。発売から長年経過した現在でも、色かぶりや面反射の少なさはトップクラスの評価を受けています。
Kenko ZX C-PL N
ZX C-PL Nは、ZX C-PLをさらに進化させた最新モデルです。従来のZX C-PLに静電気防止コートが新たに施され、フィルター表面へのホコリの吸引や付着を減らすことができます。これにより、フィルターのメンテナンスがより簡単になり、常にクリーンな状態を保ちやすくなります。
面反射も0.16~0.2%にさらに低減され、コーティングも改良されています。撥水・撥油コーティングも施されているため、水や油をしっかりはじき、指紋などの汚れが付着しても簡単に拭き取ることができます。最高の色と解像を狙う上級者向けのモデルとして、風景写真家やプロフェッショナルに支持されています。
Kenko Zeta Quint C-PL
Zeta Quint C-PLは、耐久性と高級感を重視した設計のPLフィルターです。フレームにジェラルミン(アルミニウムより高硬度かつ軽量な素材)を採用し、ガラス面にも強化ガラスを使用することで、物理的な強度を確保しています。フレーム塗装には傷が付きにくい梨地黒アルマイト処理が施されており、長期間の使用でも美しい外観を保つことができます。
PL効果の性能も優れており、従来のPLフィルターと比べて露出倍数で1.7~2.2倍(約2/3絞り~1絞り分)も明るいという特性があります。堅牢性と使い勝手の良さを兼ね備えており、長く愛用できるPLフィルターを求める方に適しています。
各モデルの性能比較
明るさの違い
PLフィルターを使用すると、どうしても画像が暗くなる傾向があります。ケンコーの各モデルを比較すると、明るさに顕著な違いが見られます。最も暗くなるのはサーキュラーPL(W)で、次にPRO1D WIDE BAND C-PLとなります。一方、ZX C-PLとZeta Quint C-PLは高透過偏光膜を採用しているため、従来のPLフィルターと比べて明るく撮影できます。
この明るさの違いは、撮影時の露出調整に直結します。暗いフィルターを使用する場合、シャッタースピードを遅くするか、ISO感度を上げるか、絞りを開く必要があります。一方、明るいフィルターを使用すれば、より自由な露出設定が可能になります。
色彩表現の違い
PLフィルターの種類によって、色彩表現にも違いが生じます。価格が高いモデルほど、青色がくっきり鮮やかに表現される傾向があります。Zeta Quint C-PLやZX C-PLは、反射を効果的に抑えつつ、全体的に明るく、かつ色彩が鮮やかに表現されます。
一方、サーキュラーPL(W)は、色調がやや暗くなる傾向があり、色の濃さは増しますが、全体的な明るさは低下します。PRO1D WIDE BAND C-PLは、この中間的な特性を持ち、自然な色彩表現を実現しています。
反射抑制性能
すべてのケンコーPLフィルターは、水面などの反射を効果的に抑制します。この点では、各モデル間で大きな差は見られません。ただし、面反射(フィルター表面での反射)の少なさという点では、ZX C-PL Nが最も優れており、面反射を0.16~0.2%に抑えています。
選び方のポイント
初心者向けの選択
撮影経験が浅く、PLフィルターの効果を試してみたいという方には、サーキュラーPL(W)がおすすめです。手頃な価格で確実なPL効果を得られ、薄枠設計により様々なレンズに対応しやすいため、複数のレンズサイズで揃えやすいのが利点です。
コストパフォーマンス重視の選択
1万円以下の予算で、できるだけ高い性能を求める方には、PRO1D WIDE BAND C-PLが最適です。透過率が高く、画質低下を最小限に抑えながら、自然な色彩表現を実現します。初心者から中級者まで幅広く対応できる汎用性の高さも魅力です。
最高の画質を求める選択
風景写真を本格的に撮影し、最高の色彩と解像度を求める方には、ZX C-PL NやZX C-PLがおすすめです。高透過偏光膜とフローティングフレームシステムにより、レンズの性能を最大限に引き出すことができます。特にZX C-PL Nは、最新の静電気防止コートにより、メンテナンスの手間も軽減されます。
耐久性と使い勝手を重視する選択
長期間にわたって安心して使用でき、堅牢性を重視する方には、Zeta Quint C-PLが適しています。ジェラルミンフレームと強化ガラスにより、物理的な耐久性が確保されており、傷が付きにくいアルマイト処理も施されています。
レンズサイズの選択
PLフィルターを購入する際には、使用するレンズのフィルター径を確認することが重要です。ケンコーのPLフィルターは、37mm、40.5mm、43mm、46mm、49mm、52mm、55mm、58mm、62mm、67mm、72mm、77mm、82mmなど、多くのサイズで展開されています。
広角レンズを多く使用する場合は、薄枠設計のモデルを選ぶことでケラレを抑えることができます。複数のレンズを使用する場合は、最も大きなフィルター径のモデルを購入し、ステップアップリングを使用して小さなレンズに対応させるという方法もあります。
フィルターのメンテナンス
PLフィルターを長く愛用するためには、適切なメンテナンスが重要です。ホコリが付着した場合は、ブロワーで吹き飛ばすか、柔らかいブラシで優しく払い落とします。指紋や汚れが付着した場合は、専用のクリーニングクロスを使用して、円を描くように優しく拭き取ります。
ZX C-PL Nに施された撥水・撥油コーティングにより、水や油をしっかりはじくため、汚れが付着しても簡単に拭き取ることができます。このコーティングは、フィルターの寿命を延ばし、常にクリーンな状態を保つのに役立ちます。
複数フィルターの組み合わせ
プロテクターとPLフィルターを組み合わせて使用する場合、フィルターの厚さや外径に注意が必要です。異なるメーカーのフィルターを組み合わせる場合、フレームの段差が生じることがあり、外しにくくなる可能性があります。
同じシリーズのプロテクターとPLフィルターを組み合わせることで、段差を最小限に抑え、スムーズな着脱が可能になります。ただし、マルミなど他のメーカーのPLフィルターとケンコーのプロテクターを組み合わせる場合でも、性能面では問題なく機能します。
撮影シーンごとの活用
風景写真
風景写真では、空の青さを強調し、雲をより立体的に表現するためにPLフィルターが活躍します。特に晴天時に逆光で撮影する場合、PLフィルターにより空の色がより鮮やかに表現されます。高性能なZX C-PLやZX C-PL Nを使用することで、最高の色彩表現が実現できます。
水辺の撮影
湖や川、海などの水辺での撮影では、水面の反射を抑えることで、水中の景色や川底をより明確に表現できます。すべてのケンコーPLフィルターが反射抑制に優れているため、どのモデルを選択しても効果的です。ただし、より明るく撮影したい場合は、高透過偏光膜を採用したZX C-PLやZeta Quint C-PLがおすすめです。
人物撮影
人物撮影では、顔のテカリを抑え、肌の質感をより自然に表現するためにPLフィルターが役立ちます。特に屋外での撮影では、逆光時にPLフィルターを使用することで、より立体的で自然な人物写真が撮影できます。
購入時の注意点
PLフィルターを購入する際には、いくつかの注意点があります。まず、使用するカメラがデジタルカメラの場合、サーキュラーPL(C-PL)を選択することが重要です。リニアPLフィルターはデジタルカメラのオートフォーカスや露出計に悪影響を与える可能性があります。
次に、フィルター径を正確に確認することが重要です。レンズの前玉に記載されているフィルター径(例:φ77mm)を確認し、対応するサイズのPLフィルターを購入してください。
また、複数のレンズを使用する場合、最も大きなフィルター径のモデルを購入し、ステップアップリングで対応させるという方法も検討できます。ただし、ステップアップリングを使用する場合、ケラレが生じる可能性があるため、特に広角レンズでは注意が必要です。
まとめ
ケンコーのPLフィルターは、初心者向けから上級者向けまで、幅広い選択肢を提供しています。サーキュラーPL(W)は手頃な価格で確実な効果を発揮し、PRO1D WIDE BAND C-PLはコストパフォーマンスに優れ、ZX C-PLやZX C-PL Nは最高の画質を実現し、Zeta Quint C-PLは耐久性と使い勝手を兼ね備えています。撮影の目的、予算、使用するレンズに応じて、最適なモデルを選択することで、風景写真や水辺の撮影をより豊かに表現することができます。
ケンコーPLフィルター徹底比較:初心者からプロまでの選び方をまとめました
PLフィルターは、風景写真の色彩を鮮やかに表現し、水面の反射を効果的に抑える重要なアイテムです。ケンコーの各モデルは、それぞれ異なる特性と価格帯を持ち、初心者から上級者まで様々なニーズに対応しています。自分の撮影スタイルや予算に合わせて、最適なPLフィルターを選択することで、より表現力豊かな写真撮影が実現できます。複数のレンズを使用する場合でも、ケンコーの豊富なサイズラインアップにより、すべてのレンズに対応するPLフィルターを揃えることができます。



